ガイド / 調達
アルミCNC部品を発注する前に決めておくこと
2026年9月20日 執筆: Alu CNC Parts 編集部 / 確認方法(英語)
アルミは切削部品の標準的な材料で、それには理由があります。速く削れ、厳しい公差を保ち、硬い保護皮膜を付けられ、重さは鋼の約3分の1です。だからこそ、初めての発注で失敗しやすい材料でもあります。図面に4つの記載が欠けているだけで、同じ部品に5通りの見積が出てしまうからです。
このガイドでは、依頼を出す前に決めておくべきことをまとめます。
形状より先に合金を決める
「アルミ」で部品を発注することはできません。加工会社は特定の合金を特定の質別で在庫しており、その違いは価格、強度、そして仕上がった部品の見た目を変えるほど大きいのです。
| 合金 | 選ばれる理由 |
|---|---|
| 6061-T6 | 標準材。速く削れ、溶接でき、アルマイトが均一で、流通量も多い。 |
| 7075-T6 | 耐力は6061のおよそ2倍。溶接できず、価格が高く、アルマイトは濃い色になる。 |
| 2024-T351 | 繰り返したわむ部品の疲労寿命。屋外では表面処理が必要。 |
| 5052 / 5083 | 耐食性、船舶用途、曲げ加工や溶接の組立品。 |
| MIC-6 鋳造プレート | 材料を削り取った後も平面を保つ必要がある大型プレート。 |
迷ったら6061-T6と書いてください。7075との詳しい比較で、上位材に切り替えるべき場面を解説しています。ほとんどのブラケット、ハウジング、マウント、プレートには6061-T6が適しており、別の材料が必要なら加工会社が教えてくれます。避けるべきなのは、合金を空欄にしたまま見積が比較できることを期待することです。比較できる見積にはなりません。
質別は合金と同じくらい重要です。T6質別の6061は熱処理済みで安定しています。同じ合金でもT0では柔らかく、ねじの保持力も変わります。合金と質別の両方を書いてください。記号になじみがなければ、各質別記号の意味をご覧ください。
公差は必要な箇所にだけ付ける
切削部品で最も費用がかさむ習慣は、厳密に見えるからといってすべての寸法に厳しい公差を付けることです。必要以上に厳しい公差は、遅い仕上げ加工、ドリルではなくリーマ、追加の検査工程、場合によっては恒温室を必要とします。
実用的な目安:
- ±0.13 mm:外形、逃げ穴など、空間に収まればよいもの。
- ±0.05 mm:位置決め部、座ぐり、購入部品を収めるポケット。
- ±0.025 mm:ベアリング穴、ピン穴、軸のはめあい。ドリルではなくボーリングかリーマで仕上げます。
- ±0.013 mm:理由を説明できる場合だけ。アルミではまれで、明らかにコストが上がります。
図面で重要な部位を2~3か所挙げ、残りは普通公差の注記に任せてください。加工会社はそれを、わかっている発注者からの依頼と受け取り、それに見合った見積を出します。お金をかける価値のある公差でさらに詳しく説明しています。
面粗さも同じ考え方です。Ra 1.6 µmが通常の仕上げ加工で得られる値です。Ra 0.8 µm以上を求めると、遅い送りでの別工程が必要になるため、シール面や摺動面に限って指定してください。
はめあいを決める前に表面処理を決める
アルミは大気中で腐食するため、ほとんどの部品に表面処理を施します。初めての発注者がつまずくのはここです。皮膜は、寸法どおりに加工された後の部品に付くからです。
タイプIIアルマイトの膜厚はおよそ5~25 µmです。そのおよそ半分が元の表面から外側に成長するため、20 µmの皮膜で穴径はおよそ20 µm小さくなり、外径も同じだけ大きくなります。タイプIIIの硬質アルマイトはさらに厚い25~50 µmで、すきまばめを簡単にしまりばめに変えてしまいます。
対処法は2つあり、どちらを希望するかを伝えさえすれば、どちらでも問題ありません。
- 表面処理後の寸法で指示する。 公差はアルマイト後に適用されると明記し、加工会社にわずかに大きめ、または小さめに加工してもらいます。
- その部位をマスキングする。 穴、ねじ、基準面に栓やテープをして、皮膜が付かないようにします。
マスキングには多少の手間賃がかかります。200個に表面処理をした後で問題に気づくほうが、はるかに高くつきます。寸法成長のガイドに具体的な数値があり、タイプIIとタイプIIIの比較で、実際にどちらの皮膜が必要かを解説しています。
もう一つ実務的な点があります。アルマイトは通常、最低ロット料金のある専門業者に外注されます。10個では、その最低料金が見積の中で加工費より大きな項目になることもあります。少量の部品で見た目よりコストを重視するなら、化成処理やビーズブラストのみにするとかなり節約できます。
見積が何でできているかを理解する
切削部品の価格は、完成品の重量では決まりません。決めるのは次の要因です。
元になるブロック。 費用は完成サイズではなく素材サイズに対してかかります。60 mmで足りるのに80 mmのプレートから描かれた部品は、余分な材料と、それを削り取る時間の分だけ高くなります。素材の形状は、図面で動かせる数少ない実質的なコスト要因の一つです。
段取りの回数。 部品を外し、固定し直し、芯出しをし直すたびに、その作業に費用が発生します。同じ5つの加工でも、2面にまとまっていれば5面に分散しているより安くなります。
合金。 7075と2024は1kgあたり6061の2~3倍の価格です。大半が切りくずになる部品では、その差が見積の大部分を占めます。
数量。 プログラミング、治具、最初の試し削りの費用は1回だけです。1個ではそれが価格のほぼすべてになります。おおよそ50個を超えると単価の下がり方は緩やかになり、落ち着きます。
最後の点は計画に組み込む価値があります。今年40個必要になりそうなら、10個ずつ4回見積を取るより、今40個で見積を取るほうがたいてい安くなります。段取りの費用が1回で済むからです。コストの詳しい内訳で、すべての項目を順に説明しています。
依頼と一緒に送るもの
加工会社が最も速く正確に見積を出せるのは、STEPファイルとPDF図面がそろっている場合です。モデルは形状を伝えます。図面はモデルでは伝えられないこと、つまり合金と質別、公差、面粗さ、ねじの指示、表面処理とマスキング、そしてどの寸法が重要かの注記を伝えます。
CADデータがまったくなくても、ノギスや直尺を一緒に写した写真があれば相談を始められます。部品を何に取り付けるか、どの寸法を正確にそのまま保つ必要があるかを書いてください。現物からリバースエンジニアリングする加工会社は、何を測定またはスキャンする必要があるかを教えてくれます。
最後に、必要な数量と時期を書いてください。数量と日付があれば、問い合わせは加工会社が実際に価格を出せる依頼になり、それだけで見積が返ってくるまでの時間がおよそ半分になることがよくあります。見積が届いたら、数字を比べる前に同じ部品を見積もっているか確認してください。
出典
このガイドの数値は以下の資料と照合しています。公表値は試験材の代表的な範囲であり、お客様の部品を保証するものではありません。
よくある質問
最初のアルミ部品が届くまでどのくらいかかりますか?
表面処理なしの6061製の単純なフライス部品なら、図面が確定してから1~2週間が普通です。アルマイトは別の処理業者にロット単位で出されるため、通常3~5営業日が追加になります。厳しい公差、5面加工、熱処理はいずれも出荷までの日数を増やします。
アルミは鋼より加工費が安いですか?
部品単位では、たいてい安くなります。アルミは1kgあたりでは一般構造用鋼より高価ですが、数倍速く削れ、工具も長持ちし、部品はわずかな時間で加工を終えます。ほとんどの見積では機械加工時間が大きな割合を占めるため、速く削れる材料のほうが有利です。
3Dモデルは必要ですか? 図面だけで足りますか?
加工会社が求めるのは、STEPファイルとPDF図面の組み合わせです。モデルはプログラミングに使う形状を伝え、図面はモデルでは表せない情報、つまり公差、面粗さ、合金、質別、表面処理、どこが重要な部位かを伝えます。図面だけでも対応できます。モデルだけだと、何が重要なのかを加工会社が推測することになります。