ガイド / 合金
6061か7075か:荷重、溶接、表面処理で選ぶ
2026年9月21日 執筆: Alu CNC Parts 編集部 / 確認方法(英語)
6061-T6と7075-T6は、ほとんどのアルミ切削部品の図面に書かれる2つの合金です。比較はたいてい「7075のほうが強い」に集約されますが、それは正しくても役に立ちません。部品がうまくいかない理由が強度であることはまれだからです。
図面に何を書くかを決めるときに重要な比較をまとめます。
数値の比較
| 特性 | 6061-T6 | 7075-T6 |
|---|---|---|
| 耐力 | ~276 MPa | ~503 MPa |
| 引張強さ | ~310 MPa | ~572 MPa |
| 縦弾性係数 | ~68.9 GPa | ~71.7 GPa |
| 密度 | 2.70 g/cm³ | 2.81 g/cm³ |
| 溶接性 | あり | なし(構造用途では不可) |
| 素地での耐食性 | 良好 | 劣る |
| 材料費の相対値 | 1x | 2x~3x |
見落とされがちなのが縦弾性係数の行です。両者でほぼ同じです。剛性は合金ではなく形状で決まるため、部品のたわみが大きすぎるなら、7075に替えるよりリブを追加したり壁を厚くしたりするほうがはるかに効果があります。上位材にすると、部品に永久変形が生じる荷重は上がります。通常の荷重でたわむことを防ぐわけではありません。
7075が価格に見合う場面
部品が本当に荷重で制約されていて、これ以上大きくする余地がない場合に7075を選びます。
- 収める空間によって断面が決まってしまうクランプ、レバー、リンクアーム。
- 大きくできない寸法の中で実際の力を受けるサスペンションや可動部品。
- 繰り返し衝撃荷重を受け、6061では永久変形してしまう部品。
- 6061では空間が許す以上に厚くする必要がある薄い断面。
重量もよくある理由ですが、理屈は間接的です。7075は6061よりわずかに密度が高くなっています。軽くなるのは材料が軽いからではなく、より多く削り取っても荷重を支えられるからです。
それでも6061が正解の場面
ほとんどの部品では6061が正解で、それは安いからだけではありません。
溶接できる。 これが決定的です。部品が溶接で何かと接合されるなら、7075は選べません。溶接部で割れ、熱で質別の特性が失われます。6061は溶接性が良好ですが、熱影響部は強度が下がるため、重要な部品では溶接後に再度熱処理されることがよくあります。溶接し、さらに海水にさらされる部品なら、5083のほうが適しています。
アルマイトがきれいに仕上がる。 6061は無色でもカラーでも、タイプIIアルマイトが均一に、再現性よく仕上がります。7075は亜鉛と銅をはるかに多く含むため、色が濃く、特にロット間でばらつきやすくなります。見た目が重視される部品や、互いに色をそろえる必要がある部品のセットでは、それだけで決まります。
素地でも腐食に強い。 7075は皮膜に傷が付くと目に見えて速く腐食し、応力腐食割れも起こしやすくなります。屋外や塩分のある場所では、7075は6061以上に皮膜が損なわれないことが求められます。
どこでも在庫がある。 加工会社は6061を幅広いプレート厚と棒材サイズで在庫しています。7075で一般的でない厚みを選ぶと、ミルへの発注と、加工開始まで2週間の待ちが発生することがあります。標準の素材サイズに合わせた設計で、そのほとんどは避けられます。
見積で実際に変わること
2つの合金の加工時間はほぼ同じです。7075のほうが削りやすいとよく言われ、切りくずが分断されやすく面もきれいです。一方の6061は、送りが適切でないと粘りが出て構成刃先ができることがあります。
したがって価格差の大部分は材料で、どれだけ痛手になるかは、どれだけ材料を捨てるかによります。プレートから切り出す薄いブラケットなら無駄は少なく、7075にしてもわずかに高くなるだけかもしれません。無垢のブロックから元の重量のわずかな割合まで削る部品では、切りくず入れに捨てられるすべての材料に割増を払うことになります。
これが実用的な判断基準です。完成品の重さではなく、元のブロックのおおよその重さを計算すれば、合金の格上げが見積の小さな項目なのか最大の項目なのかがわかります。その他の項目はコストの内訳で解説しています。
簡単な判断の流れ
- 溶接が必要か? 6061を使います。さらに海水にさらされるなら5083です。
- 外観用や色合わせのアルマイトが必要か? 6061を使います。
- 6061で実際に降伏している、または永久変形しているか? 7075に切り替えます。
- たわみが大きすぎるだけか? 合金ではなく形状を変えます。
- どれにも当てはまらないか? 6061を使い、浮いた費用を本当に必要な部位の厳しい公差に回します。
それでも迷う場合は、部品が何をするのか、何がうまくいっていないのかを書き、見積を出す加工会社に合金を提案してもらってください。加工会社が毎週答えている質問です。
出典
このガイドの数値は以下の資料と照合しています。公表値は試験材の代表的な範囲であり、お客様の部品を保証するものではありません。
よくある質問
7075は6061の2倍の強度がありますか?
耐力で見ればそれに近い値です。7075-T6は約503 MPa、6061-T6は約276 MPaです。剛性は別の話です。どちらの合金も縦弾性係数はほぼ同じ約70 GPaなので、同じ形状の7075製の部品は、同じ荷重で6061製とほぼ同じだけたわみます。合金を替えると部品が降伏する荷重は上がりますが、目に見えて硬くなるわけではありません。
7075は溶接できますか?
構造部品で頼れるような方法では溶接できません。7075は溶接部で高温割れを起こしやすく、熱影響部では、この合金を使う理由だった質別の特性が失われます。溶接が必要な部品なら6061か5083で設計するか、ボルトで締結する複数の切削部品に分割してください。
7075は材料費だけでなく加工費も高いですか?
材料費は1kgあたりおよそ2~3倍です。加工時間はほぼ同じで、7075は6061よりきれいな面が得られ、切りくずの処理も良好なことが多いです。見積の価格差は主に材料によるもので、大きなブロックを小さな完成形まで削る部品ほど影響が大きくなります。